官事務所の窓

一人のちから

少女は、世界を敵に回したオオカミのように心を閉ざした。

ある朝突然片親を亡くしたのだ。

でも、彼女が朗らかさを取り戻すのに、そう時間はかからなかった。

一人の少年が、母親の自死にも拘わらず、明るく生きていることを知ったからだという。

その少年を私は知らない。

少年がどうして明るく生きられるようになったのか、

そこにもやはり誰かの生き方があったのか。

少女は大人になり、自分の足で幸せな人生を歩んで行くだろう。

少なくとも私という一人の人間に感銘を与えて…。