蝉
地中に7年、地上で7日と言われる蝉
儚い命を惜しむかのように
夏の終わりには一層かまびすしく鳴いて
懸命に生きる証を伝える
ある夜我が家の玄関に迷い込んだ蝉
ドアを開け放しても行く先がわからないらしい
下駄箱に閉じ込めてドアも閉めた。
哀れ短い一生を、こんなところで終わるとは…。
翌朝ドアを開け放ち、恐るおそる下駄箱の戸を開けた。
暫くして鳴きながらバタバタと飛んで行った気配。
後ろめたさも吹っ飛んで、めでたしめでたし…。
後は道で仰向けになっている彼らを踏んづけてしまわないように、
気を付けて歩こう。
その生命の尊厳が、少しの間守られるように。