官事務所の窓

手作りマスク

お母さま手作りのマスクをしていらした方に作り方を見せてもらった。

白いガーゼを何重にも合わせた本格派だ。

きっとお母さまの愛情も彼女を守ってくれているのだろう。

大阪では80歳から100歳までの男女数人で楽しく洋服を作っているところがあるらしい。

肩書は皆さんデザイナー。

若者が仕掛けを作り、その方たちは自由に誰かへの思いや思い出や、自分の好きなことを溢れるほど詰め込んだ洋服を作る。

酒屋の奥さんを想って酒瓶に花のアップリケをしたブラウスだとか、

カバンが好きだからカバンを取っ手ごといっぱいくっつけた服とか、

自由過ぎる発想なのだ。

でもそこには他の何にも代えられない温もりがある。

だから、一点物で、数万の値で売れてゆく。

さて、マスク転売や手作りマスクのネット販売が禁止された。

医療関係者など最も必要としている人々に回らないのだから当然だ。

まだ市場に出回るのに時間がかかるなら

一般の私たちが思い思いのマスクを身に付けたらどうだろう。

ハンカチでも簡易マスクになるそうだから作れるのでは?

守りたい思いを込めて作られた様々なマスクが行き交ったなら、

今や心が肺炎と言われるこの国のわたしたちも

少しは余裕を持って嵐が去るのを待てるかもしれない。