官足法指導員 南 尚志(鹿児島県)
<潰瘍性大腸炎性の大腸がん>
潰瘍性大腸炎と診断されてから約2年8ヶ月目の昨年4月15日、そう診断されました。
ステージは1か2とのこと。ただし、潰瘍性大腸炎性のがんはどこに根っこがあるかわからないので大腸全摘がゴールドスタンダードだとの説明を受けました。
手術は2回、1回目で大腸の摘出をして一時的に人工肛門にし、しばらく間をあけて2回目の手術で小腸と肛門をつなぐとのこと。
病名の音の通り、頭の中は「ガーーーーーン!」です。
足もみを始めてから、三大療法に頼らない治療の知識も多少得ていたので、「足もみ中心に、自分の免疫力でなんとかしたい。標準治療は最終手段にしたい。」と思い、「病院には、体の中のモニタリングでお世話になりたい」と考えました。ステージ1か2なので、今のままの治療を続けることができないか相談しましたが、以下の理由で手術を勧められました。
・昨年なかったがんが今年2~3cmにまで大きくなっている。
・潰瘍性大腸炎性のがんはどこに根っこがあって、どこから出てくるかわからない。
・転移についても予測不能で進行が速い。
・うちの病院では5mmのがんで翌年亡くなった方もいる。
・手術をしなければ来年生きていないかも
標準治療を拒否して亡くなった芸能人の方などを例に出され、とにかく早く手術を受けることを勧められました。
「手術しないと余命1年あるかないかっていう余命宣告なのか?」とドキドキしましたが、がんが発覚した内視鏡検査の時に1年前よりずいぶんと綺麗になった大腸の様子を自分でも見ていたので、潰瘍性大腸炎の発病後一番調子がよく、ここまで回復してくれた大腸を全摘することに納得がいきませんでした。「潰瘍性大腸炎はかなり良くなっているように見えますが、それでも全摘の必要がありますか」と尋ねると、「潰瘍性大腸炎は確かにだいぶ良くなっている。でもがんがあるから全摘。」とのこと。足もみなどで回復させる時間が欲しくて粘り、入院前に転移などを調べるための検査や腫瘍マーカーの検査はしないのか問いかけると、「手術のための入院をしたら調べてあげる。」という答えが返ってきました。
<セカンドオピニオン>
それならばとセカンドオピニオンで時間を稼ぐことにし、2カ月ほどかけて6件の病院で7人の医師と、遺伝子治療のコーディネーター1人と話をして病院との関わり方を考えました。6件の病院は西洋医学系の病院が3件、統合医療系の病院が3件でした。西洋医学系の病院1件と統合医療系の病院の2件は県外の病院を受診しました。
セカンドオピニオン巡りは、最初に訪れた統合医療の先生から、「治療方針を決めるために36件の病院を回っているうちにがんが消えた人がいて、「36人の医師全員言うことが違っていた」という話もあるから、いろんな病院を回ってみたら?」というアドバイスから始まりました。
<反省と治し方のイメージ>
セカンドオピニオン巡りを始めるにあたり、まずは生活を振り返りました。うつ病から回復した後の私は足もみを人に伝えるときには「回復をストレスが上回ると病気になる。」と説明しているくせに、「足をもんでいるから大丈夫!」と過信し、自分がストレスフルな暮らしをしていたことを反省しました。
それから、手術以外のがん治療の知識を得るためにいろんな医師の本を読み、インターネットを検索して、自分なりの「こうやって治したい」というイメージを作り上げました。
官足法でもよくお名前を聞く安保徹先生の「がんはストレスによって活性酸素が増えてしまった体内で嫌気的(酸素が少ない)環境に適応するために(酸素を必要としない)解糖系によるエネルギー生産を行う先祖返りした細胞」という説が自分にとって一番信頼できました。
「ならば、がんができる暮らしの逆のことをすれば、がん細胞は役目を終えて消えるか、または普通の細胞に戻ってくれるのではないか。」というのが私の出したがんの治し方のイメージです。「血流を整え、体を温め、体に良いものを食べ、よく眠り、不安を取り除く。」という副交感神経を優位にする暮らし方が治療だと考えました。官足法で教わってきたことそのままです。
このイメージと合う病院を探しに行きました。
<西洋医学系の治療法>
西洋医学系の病院では、とにかく手術を勧められ、自分で調べて治療の選択肢として考えていた温熱療法について科学的根拠がないと否定されました。発がんの原因と潰瘍性大腸炎の原因については「原因がわからないから潰瘍性大腸炎は難病で、そこからできたがんは摘出するのが唯一の根治治療で、一生薬を飲み続けることが必要」というのが共通した見解でした。西洋医学系の病院は規模が大きく施設が整っていますが、治療法が限定的で体への負担が大きい治療法ばかりでした。また、医師と話していて不安を煽られる印象を受けました。
そもそも「大腸を摘出することを根治とは言わないだろう。」と感じたため、受診を止めました。嫌な気持ちにもなりましたが、本で読んで知っていた患者さんが診察で辛い思いをする体験を身をもって味わうという貴重な体験ができました。
遺伝子治療のコーディネーターとは、代替医療で行われているビタミンC点滴療法やオゾン療法、免疫療法などについてと、遺伝子治療の違いなどを教えてもらいました。
1クール6回の点滴で200万円ほどかかり、1クールで治るかわからないという庶民には経済的リスクの高い治療だったので選択しませんでしたが、良い勉強になりました。
<免疫力を高める生活>
統合医療系の病院では、生活スタイルなどを細かく聞かれ、原因や今後の対応を相談するという感覚の診察でした。まず原因を取り除いたうえで免疫力を高める治療を行っていくことが望ましいというのが訪問した統合医療系の病院のスタンスでした。最終的にお世話になっている病院では、「進行が速いなら、検査をしてからの2カ月でがんが大きくなっているはずだから確認しておきたい。」という希望を聞いてもらい、もう一度検査から始めてもらいました。それまでの二か月強の間は、自分のイメージに従い、食事に気を付け、定時に仕事を切り上げさせてもらい、入浴時間を長くとり、家庭でできる温熱療法を取り入れ、睡眠時間を確保し、足もみを強化していました。併せて「病気は生き方を見直すきっかけ」と官足法指導員講習で教わったのを思い出し、「無理させてごめんね。がんという形でそれを教えてくれてありがとう。」と、寝る前に大腸の患部を擦って話しかけることをやってみました。
<良性腫瘍になる>
検査の結果は「がんの一歩手前の良性腫瘍」。潰瘍性大腸炎も寛解という診断が出ました。内視鏡検査中、その場にいた方々の「これで全摘と言われてもねぇ…。」という言葉に「遠くまで来てよかった。」とホッとしました。
医師から「良性になったとはいえ、油断するとがん化するから気を付けてね。部分摘出もできるけど、どうするかは自分で決めていいよ。」と言われ、迷わず「切りません。」と答え、それから自分の免疫力を高める治療が始まりました。
<病気を治すのは患者自身>
診察を受けている病院の先生は、ご自身が潰瘍性大腸炎で4度の入院を経験し、西洋医学に頼らない治し方を研究されてきた方で、23年間再燃をせず、難病指定からも外れたとのことで、免疫学の安保徹先生の理論を基に診療をされています。患者の苦しみを御存じなので、同じ目線で話せる点が他の病院とは違いました。
いろいろと話をさせていただく中で「自分らしい生き方をするといいよ」というアドバイスをいただきました。「病気を治すのは医者じゃなく患者さん自身だよ」という言葉に共感し、「(もし悪くなったとしても)この先生が全摘するしかないというなら切ろう。」と思えたので、通っています。治療というよりも、足もみにも生かせる様々なことを自分の体を通して勉強させてもらっている感覚です。
<病院での治療>
昨年から病院で受けてきた治療は以下の3つです。
◎交感神経の抑制により視床下部の血流を増大するための注射
◎近赤外線治療や電子治療の理学療法(どちらも血流促進が目的)
(◎:県外の病院 ●:県内の病院)
※処方されている薬はありません。
免疫力の状態は血液検査でモニタリングしています。私は交感神経優位のため、副交感神経の活性を高めていく治療の効果を確認します。リンパ球の割合が35%~40%、リンパ球実数が2000~3000を目標に治療をしてきました。血液検査で特に注目しているのは以下の項目です。
・白血球数・赤血球数
・血液像(好中球・リンパ球などの割合)
・計算で求めたリンパ球の実数
・CRP
・腫瘍マーカー
・アディポネクチン
・ケトン体
・セロトニン
<自律神経と免疫力>
自分ががんという命と向き合う病気になってみて、恐怖感が人の体をこわばらせてしまうということを体感しました。
「来年生きていないかも。」と言われ、呼吸が浅くなりました。深呼吸をしても空気が入ってこない感覚です。これは調べてみると交感神経が優位になっていたためです。ある日散歩をしていて、何気ない景色に感動した瞬間があって、「日常って本当にありがたいんだなぁ。」と感じたことがありました。その頃から少し呼吸が深くなったのを感じました。良性化したと聞いた時に元通りに呼吸できた気がします。
また、普段だと暗くないと眠れないのに、暗いと恐怖を感じていました。
人間の心理が免疫力に影響するというのは実際に血液検査にも出てきて、リンパ球の割合が、がんと言われて「全摘しか手段がない」と言われた頃はリンパ球が10%代しかありませんでしたが、最近は33%程度になることもあります。25~30%台で推移していた頃に「全摘しかない。」と言われた病院で人間ドックを受けたのですが、その時は突然10%台までリンパ球が減りました。翌月にはまた25~30%台に戻りました。「病は気から」とはよく言ったものです。
人の自律神経は感情に左右され、それによって免疫が左右されるという体験をできました。
<官足法と病気の患部>
足もみでは、がんと診断されてすぐに官足法を教わった浜崎ふく子先生に相談しました。
ウォークマットⅡを強く深く踏むこと、血流や大腸の便の流れを意識して足をもむこと、脾臓やリンパの反射区をよくもむことなどのアドバイスをもらい、足をもみました。
また、陰陽五行の陰と陽の関係、相生・相克のことも考えながら足をもみました。大腸の病気ですが、不思議なことに相克に当たる肺の反射区付近が悶々としてもむように促されることが増えています。
改めて官足法ってすごいなと思ったことがあります。潰瘍性大腸炎やがんのある場所がしっかりわかります。内視鏡検査で炎症が見つかったり、がんが見つかったときに、それが炎症か、がんなのかまではわかりませんでしたが、お医者さんから指摘される前に「炎症がある場所はココじゃないですか?」と示すことができました。
<言葉の大切さ>
命と向き合う恐怖や不安、かける言葉で人の体調が変わってしまうことを身をもって体験させてもらいました。お医者さんや医療関係の人からもいろいろ教わり、同じような病気に苦しむ患者さんとの交流の中で教わったりすることができました。
だから今はがんという病気を経験させてもらって本当に良かったと思っています。
<うつ病にも感謝>
私が官足法と出会うきっかけは10年ほど前のうつ病でした。うつ病になっていなかったら、全摘と言われたときに、考えもせず大腸を摘出していたことでしょう。
うつ病になって、浜崎先生から官足法を教わり、指導員になることを勧められたころに「すべてのことに意味がある。繋がっている。」と言われたことを思い出します。
「うつ病になっていなかったら」、「浜崎先生に出会って官足法を知らなかったら」、「姉が浜崎先生を紹介いてくれていなかったら」、「安保徹先生の理論を知らなかったら」、「潰瘍性大腸炎になって今お世話になっている先生の本を読んでいなかったら」、「コロナで緊急事態宣言が出ている中県外の病院へ行くことを許してくれる家族がいなかったら・・・」、いろんなことが繋がってくれたおかげで、今自分がここにいる…。不思議でありがたいことだと思います。
<がんが消える>
今年6月に受けた内視鏡検査で、2~3センチあったがんの姿は消え、病理検査の結果でもがんは確認されませんでした。がんは役目を終えてくれたようです。
再びがんが活躍しないといけない場を作らないように気を付けて過ごしていこうと思います。
<「大丈夫や!」に救われて>
うつ病で浜崎先生に足をもんでもらっていた頃、もちろん足もみも教えてもらっていましたが、先生の「大丈夫や!」の一言を言ってもらうために通っていた気がします。
今回も昨年がんが良性になったときに「もう大丈夫や!」と言ってもらって体がとても軽くなりました。
私も、健康について不安になった方が「大丈夫」と言われて安心できる人になるために、これからも楽しみながら学び、痛くても怒らない方に足もみを伝えていきたいと思います。
※病院の名前やお医者さんの名前は割愛させていただきました。人と人とのことですから相性もあると思います。西洋医学や医療コーディネーター、統合医療のイメージは私の主観と私が行ったことのある病院に限られたものです。