官事務所の窓

惜別

素敵な女性だった。

さりげないおしゃれをして、

窓にはアンティークのような

センスのよい自分で作ったオブジェを飾り

一人で住む三階建ての家の急な階段を毎日雑巾がけして

優しくて辛辣で、ちょっと可笑しくて…。

自分で考え行動し、クヨクヨしない。

愛を伝えるに労を惜しまない。

言いたいことを言うけれど、傷つけない。

戦後の引き揚げ者の気骨か、

成功に胡坐をかかないで、年齢に諦めを許さなかった。

97歳、大往生。

少女のように微笑んで逝った貴女に

叶うことなら、いつかどこかでまた出会いたいと思う。