介護職から見た足と老化
S.O(男性40代 埼玉県)
官足法に出会って、介護職の自分の仕事から多くの気付きがありました。身体の状態の悪い人ほど足の状態が悪いことです。特に指。第二、第三指が太かったり、親指が異常に大きくてパンパンだったり、外反母趾が酷かったり…、認知症になるのはそういう人が多いです。
ガタガタの身体のままで投薬治療をしてもあちこち悪いのがどうにもならないのかな、と、見ていて思います。けれど身体のひどさが足に出ているのなら、官足法である程度からだを整えてそれから通常の治療をすれば効果が早いのではないでしょうか。
両手がピンと張ったまま動けず全身の拘縮が酷い人がいます。長年ゴルフ場のキャディさんをしていた方で、締め付ける靴を履いていたのでしょうか、ひどい外反母趾です。足が酷いから、この状態も足から来ているんじゃないかと思うし、足から何か出来るんじゃないかとも思います。また、そこまで酷くなる前に身体を整えることが足で出来るというのも、すごいことだと思います。
百歳を超えた人がいるんですけれど、この人は足が美しい。70代といっても通るようなきれいな脚をしています。70歳まで花柳界で働いていたそうですから、自分でキュッと帯を締めあげたり、下駄を履いたり、昔の日本人がして来たような生活を毎日きちんとして来た人です。
下駄は指の股を刺激するだけでなく、前になる足は指先が下を向く度にキュッと力を入れて指の頭で下駄を踏みしめ、後になる足は腱を伸ばしながら歩く、それによって足首も動かす、とても優れた履物です。お相撲さんが下駄の生活をしているのも頷けます。
80代、90代でも元気でしっかりしている人は皆さん足がきれいです。ですが、70代でも身体の状態がひどい人は足の状態がひどい。脚の上の方からもう血が十分に通っていない感じがします。亡くなっていかれる時には足の甲が腫れ、ここから先に血が通っていないな、とわかります。
特別養護老人ホームに勤めていますが、特養に限らずどこも今の老人の置かれた状況は気の毒だと思います。真面目に一生懸命に生きてきた人が、ある時ちょっと躓いて、人生の軌道がズレてガタガタと崩れていきます。薬浸けになって、身体はますます思うに任せず、本人はもっときちんとした形で生きたいのに、全部がんじがらめにされてしまって…。そうではなく、自分の役割や使命を全うして心残りがなく人生を終える方は美しいです。
足と身体は密接な関係
私は現場で傍から見ているだけですが、いつでも適切な治療がなされるわけではなく、医療者でない私でも、あれ?と思うようなこともあります。目に見える症状ばかり治療しても、足から見るとお腹も悪そうなのにその方の治療はやらないのだろうか?などと思うことがあります。官足法もプロではありませんが、長くやっていると足と身体の状態が密接に関係していることはよくわかりますから。官足法を知り実践する中で、身体の状態が自分でもある程度わかるようになれば生活の中で調整がやり易くなります。それに加えて経験豊かな指導員に官足法の指針はもちろん生活や他の治療との併用方法などのアドバイスを頂ければもっと適切な治療や介護の方法があるのではと思います。無駄な治療を避けることが出来れば医療費削減の一つの方法になるのではないでしょうか。東洋医学やその他にも様々な治療法がありますが、現代の医療に取り入れるのは悪いことではないはずです。重い症状を持った人は足もひどいと思いますが、官足法を取り入れることによって治療がやりやすくなるのではと思います。