腺がんの影が消えた
官足法指導員 菅原喜代美(東京都)
夫に誘われて始めたゴルフは、今では最も好きなスポーツの一つになりました。
一昨年のことになりますが、いつものように夫とゴルフに出かけた時のこと、振り抜くときに今までに感じたことの無い疼きが肋骨に走りました。骨にひびが入ったか、それとも折れているのか、と不安になり近くのクリニックでCTを撮りました。すると「骨は何ともありません。でも肺に何か居ますよ。」とのこと。そこから関東中央病院を紹介されました。ここでのCTでも肺に影がありました。診断は腺がん0期。この時の血液検査では白血球数が2700だったのを覚えています。基準値は8000とのことでしたから随分少なかったのです。白血球の成分検査では好中球の値が高く、その分がんと闘うリンパ球の値が少なくなっていたのも、岡山先生から教えていただいていたがんの人にありがちな血液の典型でした。
若い時から会社勤めの仕事の傍ら、ヨガのインストラクターを始め様々なことに挑戦し、活動的に過ごして来ましたが、生まれつきの心臓疾患があり、腎臓からきた尿道結石、逆流性食道炎、子宮筋腫など入院、手術の経験には事欠きません。が、心臓の大手術のあと官足法指導員になって、すぐに官事務所で週二、三回働き始めました。事務所で教えてもらえることもあって、一年後には体温が一度上がっていました。官事務所での仕事の他、ヨガ、官足法などいくつも講師として教室を掛け持ちしながら元気に過ごしていましたが、この時は引っ越しも重なり、疲労と様々なストレスが重なって、足を揉めない日々が続いていました。ですから、腺がんと言われた時もあまり驚きませんでした。そしてむしろ官足法で治そうと闘志が湧いてきました。
0期とはいえ、胸は相変わらず痛かったので、この痛みを取ろうと足もみに取り組みました。それまで官事務所で、足と脚部全部を隈なくもむよう口が酸っぱくなるほど言われていたのに指の揉み方が足りなかったことにも気付かされました。
水溜所長が“ホラ”と言って軽くつまんだ爪先の飛び上がるほどの痛さ。岡山先生に押していただいた指の付根とその斜め45度の痛かったこと!それまでいつも足は冷えていて絹の冷え取り靴下を何重にも穿いていましたが、指をちゃんと揉めばカーッと温かくなることに、この腺がんのお陰で初めて気づきました。
三か月に一度の通院で、二度目の診察は一度目から変化なし。けれど、三度目からは行く度に肺の影が薄くなっていき、五度目には影は消えていました。
今年は春からのステイホームで教室の多くが休みになり、その分昼の間じっくり時間をかけて足を揉むことができました。これまでは忙しく予定をこなす日々でしたが、はじめてゆったりとした時間を過ごし、時間があるっていいものだな、と思えるようになりました。この体験が、これからの人生をまた違ったものにしてくれるのでは、と思っています。